/*シナリオ情報*/ ライティング:アルバガルド http://ikefukurou.sakura.ne.jp/alba/ 本シナリオは『ブレイド・オブ・アルカナ リインカーネイション』の二次著作物です。 /*事前情報*/ ■シナリオデータ シナリオタイトル:贄たる乙女の城 プレイヤー人数:3〜4人 想定プレイ時間:4〜5時間 使用経験点:0〜30点程度 GMが使用するルールブック: 『BAR』 ■シナリオのコンセプト  「贄たる乙女の城」は美しい乙女たちが暮らす奇妙な孤城にまつわる物語だ。しかしその裏側には魔神メローディアの影がある。  刻まれし者たちは城で過ごす長い夜を生き残り、この悲劇に終止符をうつことができるだろうか。 /*プレリュード情報*/ ■トレーラー ハイデルランド北東の山間に、小さな城が建っていた。 そこに住まうは、見目麗しき乙女たち。 甘きくちびる、花のかんばせ。 しかし、その城を訪ね、帰ってきたものは誰もいない。 夜闇の訪れとともに、人形たちは醜き魂をあらわにする。 それは魔神メローディアが産み落とした悪徳。 ブレイド・オブ・アルカナ 「贄たる乙女の城」 アルカナの刃よ、闇の鎖を打ち砕け。 ■シナリオハンドアウト 各PCには、以下の設定がつく。キャラクター作成時によく相談すること。 PC@:マルレーンの知己 PCA:オイレンブルクに立ち寄った旅人 PCB:錬金術師エッボの友 PCC:聖グラディウシア騎士 ▼PC@用ハンドアウト 因縁:☆マルレーン/懐旧 推奨サンプルキャラクター:遍歴の騎士 推奨アルカナ:なし  あなたはかつてオルフェンブルク城伯のひとり娘、マルレーンと親しくしていた。あれから数年、あなたは旅の途中、オルフェンブルクにやってきた。思えばいつからか手紙も交わしていない。マルレーンは息災だろうか。気まぐれから城を訪ねたあなたは、意外なかたちで彼女と再会をはたした。 ▼PCA用ハンドアウト 因縁:☆帰らぬ人々/疑念 推奨サンプルキャラクター:聖職者 推奨アルカナ:なし   あなたは旅人だ。オルフェンブルクを訪れたあなたは、麓の村で奇妙な話を聞いた。山間に城伯の城があるのだが、いつのまにか城伯はいなくなり、かわりに美しい乙女たちが暮らしはじめた。以来、幾人も城を訪ねたが、誰ひとり帰ってこなかったという。あなたは闇の鎖の気配を感じ、城へと向かった。 ▼PCB用ハンドアウト 因縁:☆錬金術師エッボ/捜索 推奨サンプルキャラクター:戦闘人形 推奨アルカナ:なし  あなたは若き錬金術師、エッボの旧友だ。そんなあなたのもとに機械仕掛けの小鳩が舞い降り、腕にとまった。「オルフェンブルクより、救けをこう」……そう、くりかえしさえずるのだ。エッボはたしかオルフェンブルク城伯に召し抱えられていたはずだ。あなたは友を救うため、オルフェンブルク城に足を踏み入れた。 ▼PCC用ハンドアウト 因縁:☆メローディアの帰依者/断罪 推奨サンプルキャラクター:獣人の傭兵 推奨アルカナ:なし  あなたは聖グラディウシア騎士のひとりだ。魔神メローディア……それはアーの大いなる敵である。マイネ修道院のエスター・ブルクマンは、オルフェンブルク城伯にメローディア崇拝の疑いがあると告げた。城伯は敬虔な真教徒だと聞いていたが、魔神にかしずいたというなら見過ごせない。あなたは城伯の居城を目指した。 ■キャラクター作成  トレーラーを読み上げた後、ハンドアウトを各プレイヤーに配布せよ。どのプレイヤーにハンドアウトを渡すかは、GMの任意にしてもよいし、プレイヤーに選択してもらってもよい。 ●クイックスタート  プレイヤーが『BAR』を初めて遊ぶ場合や、ルールブックを持っていないならクイックスタートでキャラクター作成を行うとよい。  本シナリオでは、次のサンプルキャラクターをクイックスタートで使用することを推奨する。 PC@:遍歴の騎士(『BAR』P26) PCB:聖職者(『BAR』P36) PCA:戦闘人形(『BAR』P40) PCC:獣人の傭兵(『BAR』P32) ●コンストラクション  プレイヤーがルールを知っていて、ルールブックも所持している場合、コンストラクションでキャラを作成してもよい。  PC全体の奇跡のバランスを考えて作成すること。 ●プレイヤー人数が3人の場合  プレイヤーが3人の場合はPCCをぬくこと。 ■PC間因縁  PC間の因縁は以下のとおりに取得する。 PC@→PCA→PCB→PCC→PC@ /* GM用テキスト */  数年前、ミンネゼンガー公国北東に位置するオルフェンブルクは、深刻な飢饉にみまわれた。オルフェンブルク城伯は領民のために魔神メローディアと取引することを決意する。  メローディアが豊作の代償として求めたのは、所領に暮らす乙女たちの命だった。城伯は葛藤の末、一計を案じた。血と肉のクレアータをつくり、それを代わりの生贄として差し出すことにしたのだ。  クレアータたちは心をもたないはずだったが、メローディアはひそかに術を書き換え、彼女たちに心を与える。  心を得たクレアータたちは、城伯と城の者たちをふかく恨み、皆殺しにしてしまう。そして新たな住人として、オルフェンブルク城で暮らしはじめた。  クレアータたちの長姉であるコンスタンツェは殺戮者であり、同時に魔神メローディアの巫女でもある。コンスタンツェの命令のもと、クレアータたちは旅人や麓の村の人々を城に招き、その命を奪うようになる。  幾人もの刻まれし者がコンスタンツェを討とうとしたが、彼女は魔神メローディアから不死の秘術を授かっており、殺すことはできなかった。  PCたちはそれぞれの事情からオルフェンブルク城を訪れ、クレアータたちに命を狙われる。事情を知ったPCたちは、城に囚われていた人々を助け、コンスタンツェの不死の秘密をさぐる。  コンスタンツェを倒し、城をクレアータたちから解放したなら、シナリオは終了する。 /* シナリオ本文 */ ■導入ステージ ●シーン1:刻まれし者の最期 マスターシーン ◆解説  PC登場不可。場所はオルフェンブルク城近くの森。殺戮者であるコンスタンツェと名もなき騎士が戦う。致命傷をうけたコンスタンツェは秘術の力によって蘇生し、騎士に打ち勝つ(*1)。これは[悪徳]である。[悪徳]の逆位置の鎖を配ること。 ▼描写  やせ細った月が、夜の森を照らし出す。  剣をもった騎士が、木立のあいだを駆けていく。彼は追っ手におびえるように、何度もうしろを振り返った。  彼を追いかけるのは、ひとりの美しい乙女だ。その姿をみとめ、騎士はおびえたように口走った。 ▼セリフ:遍歴の騎士 「なぜだ……なぜやつは死なない」 「幾度も心臓を貫いた。首をはねた。なのに、やつは何度でも立ち上がってくる」 「これは悪夢なのか……!?」 ▼セリフ:コンスタンツェ(乙女) 「ふふ、ひどいおかた。か弱き乙女の心臓をぐちゃぐちゃにするなんて」 「メローディア様のご慈悲があるかぎり、私はけっして死なない。何度でも蘇るの」 「さあ、聖痕をささげなさい」 ◆結末  その宣告とともに、森の奥から無数の乙女たちがあらわれる。騎士の叫び声が、夜闇に響きわたった。シーン終了。 ●シーン2:エッボの小鳩 シーンプレイヤー:PCB ◆解説  舞台は数年前。PCBのもとに友人エッボがやってくる。彼はオルフェンブルク城伯に雇われたことを告げる。 ▼描写1  錬金術師エッボは、腕の良いクレアータ技師だった。しかしまだ若い彼は、成功への足がかりを見つけられずにいた。ある日、彼は興奮した面持ちで、あなたのもとにやってきた。 ▼セリフ:エッボ 「やったよ、PCB。オルフェンブルク城伯が、僕を雇いいれてくれるそうなんだ!」 「クレアータは高価だからね。パトロンなしの根無し草じゃ、腕一本満足につくれない。これは大チャンスだよ」 「僕はオルフェンブルクに行くよ。しばらくお別れだ」 ◆解説  舞台は現在。PCBのもとにエッボがつくったクレアータの小鳥がやってくる(*2)。 ▼描写2  それから数年が経ったある日。あなたの腕に一羽の小鳩が舞い降りた。よく見るとそれはクレアータだった。小鳩は甲高い声で、こうさえずった。 ▼セリフ:小鳩 「オルフェンブルクより助けをこう、オルフェンブルクより助けをこう」 「ああ、おそるべき乙女たち……!」 ◆結末  小鳩はそのままPCBの服のポケット、あるいは荷物に入っていく。  エッボはオルフェンブルクの城伯に召し抱えられたはずだ。PCがオルフェンブルク城を目指して出発したなら、シーンを終了する。 ●シーン3:メローディアの豊穣 シーンプレイヤー:PCC ◆解説  場所はマイネ修道院。剣十字騎士であるPCCは、エスター・ブルクマンから使命を与えられる。それはメローディア崇拝の疑いのあるオルフェンブルク城伯のもとに赴けというものだった。 ▼描写  夜闇にしずむマイネ修道院廃墟。  あなたが待っていると、聖堂にひとりの女性の姿が浮かび上がった。彼女の名はエスター・ブルクマン。騎士団を見守りつづけてきた守護霊だ。 ▼セリフ:エスター・ブルクマン 「オルフェンブルクの地を、闇の気配が覆いつつあります」 「ハイデルランドの辺境では、魔神メローディアへの崇拝が今なお根強く残っています。オルフェンブルク城伯は敬虔な真教徒として、彼の地をよく治めてきました。しかし……その城伯がついに魔神にかしずいたようなのです」 「詳しい事情はわかりません。魔神の陰謀は巧妙です。ことの次第は、慎重に調べる必要があるでしょう。しかしあなたがなにをなすべきかは、明快です。魔神の帰依者を討ち、オルフェンブルクの災いを止めるのです」 ◆結末  PCがオルフェンブルクを目指して出発したなら、シーンを終了する。 ●シーン4:オルフェンブルクの乙女たち シーンプレイヤー:PCA ◆解説  場所はオルフェンブルクの村。PCAは宿屋の主人から、オルフェンブルク城と行方不明者についての話を聞く。 ▼描写  あなたは旅の途中、ミンネゼンガー公国、オルフェンブルクへとやってきた。このまま山間の街道をぬけ、隣町へと行くつもりだ……。そう話すと、宿屋の主人は奇妙なことを言いはじめた。 ▼セリフ:宿屋の主人 「山を越えられるのですか。ああ、しかしその途中にあるお城には近寄らないほうがいいですよ」 「あれはこのオルフェンブルクを治める城伯さまのお城なのです。城伯さまはそれはそれは立派なおかたでした。この地の者たちが信心ぶかいのも、城伯さまの影響です」 「しかしここのところ、城伯さまの姿は見えなくなりました。いえ、城伯さまだけではありません。いつも村を訪ねてきていた騎士や小姓のかたがたも、とんと見なくなったのです」 「そのかわり城に住むようになったのは、誰も見たことのないような美しい乙女たちでした。彼女たちは時折、近隣の村々に給仕を雇いにくるのです。多くの村娘がそうして連れて行かれました。しかしいまだひとりも帰ってきていないのです」 「遍歴の騎士さまが幾人か、この話を聞き、仔細をたしかめるためかの城に向かいました。しかしその方たちも……」 「城の乙女たちは今も時折、村に来ます。そしてさらに娘を差し出すように迫ってくるのです。『もう若い娘はいない。前に行った娘を帰してくれ』……そう訴えても、まったく耳を貸しません」 「ああ、それにお笑いになるかもしれませんが、私たちはあの乙女たちが恐ろしいのです! あの有無を言わさぬ冷たい瞳ににらまれると、とても逆らう気にはなれません……」 ◆結末  その話を聞いたあなたは、そこに闇の気配を感じた。PCがオルフェンブルク城を目指して出発したなら、シーンを終了する。 ●シーン5:オルフェンブルクの思い出 シーンプレイヤー:PC@ ◆解説  場所はかつてのオルフェンブルク城。数年前、オルフェンブルク城伯家、そしてマルレーンとの交流をえがく回想シーン。 ▼描写  あなたはオルフェンブルクへとやってきた。この地を治める領主一家のことは、あなたもよく知っている。  とくに城伯の娘、マルレーン。彼女との時間は、あなたにとって忘れがたい思い出だった。 ▼セリフ:マルレーン 「PC@さまはかわった痣をお持ちなのですね。教会で見た、アルカナの印にそっくりです」 「まるで伝説に出てくる聖痕をもつ戦士たちのようです。PC@さまはきっと、英雄の相をお持ちなのですね!」 「これまでもハイデルランドを旅してきたのですか? 冒険のお話、聞かせてください」 ◆解説2  現在のシーン。オイレブンブルク城を訪れたPC@はそこで召使いにふんしたマルレーンと出会う。マルレーンはマリーと名乗り、PC@のことを知らないふりをする。 ▼描写2  あれから数年。旅の途中でオルフェンブルクへとやってきたあなたは、ひさしぶりにオルフェンブルク城へと立ち寄ることにした。  城の門に呼びかけると、ひとりの若い召使いが出迎えた。貧相な身なりだが、その顔には見覚えがある。城伯の娘、マルレーンだ。しかし、いったいどうしてこのような格好をしているのだろう。 ▼セリフ:マルレーン 「旅のおかたですか。あ、あなたは……!?」 (マルレーンと呼んだ)「……人違いではないでしょうか。私はこの城の召使いのマリーです。ええ、あなたとははじめて会いました。知りませんったら知りません」 ◆結末  いったいこの城でなにが起こっているのだろう。あなたは疑問をおぼえながらも、マルレーンとしか思えぬ娘に連れられ、城へと足を踏み入れた。シーンを終了する。 ■展開ステージ ●シーン6:乙女の城の主 シーンプレイヤー:PCB ◆解説  全員登場。PCたちの合流シーン。コンスタンツェはオルフェンブルク城に来たPCたちを歓迎し、晩餐にさそう。するとPCBのもつクレアータの小鳩が、突然騒ぎ出す。 ▼描写  オルフェンブルク城を訪ねたあなたたちは、マリーという給仕に案内されホールで顔を合わせた。そのとき麗しい銀髪の乙女が、扉から入ってくる。 ▼セリフ:マルレーン 「コンスタンツェ様、お客様がいらっしゃいました」 ▼セリフ:コンスタンツェ 「おや、今晩はお客様が多いのですね。賑やかな夜になりそうです」 「ようこそ、おいでくださいました。旅のおかた。私はコンスタンツェ。この城の城主のようなものです。歓迎いたしますわ」 「騎士や戦士のかたがたに逗留していただけるのは、心強いですわ。というのも私たちの城は、細腕の娘しかいないものですから」 (理由をたずねた)「それはいささかこみいった話になるのです。晩餐のときにお話ししましょう」 (聖痕をみて)「……綺麗な刺青をいれていらっしゃるのですね。ふふ、とても気にいりました」 「もうすぐ日も落ちます。すぐに晩餐を用意させますわ。さあ、こちらにどうぞ」 ▼セリフ:小鳩 「おそるべき乙女たち! おそるべき乙女たち!」 ◆結末  コンスタンツェは騒ぎ出した小鳩をぱっと掴むと、たたきつけて壊してしまう(*3)。そのあとは、何事もなかったかのように穏やかな様子で奥へと案内する。  シーンを終了する。 ●シーン7:コンスタンツェの饗応 シーンプレイヤー:PCA ◆解説  全員登場。場所は城の食堂。コンスタンツェがPC達をもてなし、晩餐をともにするシーン。コンスタンツェはこの城が女たちしかいない理由について説明するが、すべてでたらめである(*4)。  給仕としてマルレーンが登場するが、PC@が話しかけても、知らないふりをする。 ▼描写  その晩、あなた達はオルフェンブルク城の晩餐に招かれた。コンスタンツェを筆頭に、幾人もの娘たちがならぶ(*5)。男はひとりもいないようだった。  そして娘たちは全員、首筋に奇妙な印をいれている。聖痕とも魔印ともすこし違うようだが……。 ▼セリフ:コンスタンツェ 「あらためまして、ご挨拶いたします。私、コンスタンツェともうします。ここに住む娘たちの姉として、この城を預かっています」 「ご存知でしょう。このオルフェンブルク城はかつては城伯さまが住む城でした。しかし今やここにいるのは私達のような娘子ばかり、これにはわけがあるのです」 「城伯さまは王宮から竜伐軍への出兵を命じられました。かねてよりトラシアの報に心を痛めていた領主さまは、臣下の者たちを従え、トラシアへと旅立ったのです」 「しかしその冬、城伯さまとオルフェンブルクの騎士たちは、皆揃って討ち死にされました。かの邪竜エンメラムの炎に焼かれたのだと聞きます」 「その年はオルフェンブルクも大変な飢饉で、城に残っていた臣下たちも、いつのまにかどこかに逃げてしまいました。そしてこの城に残されたのは、竜伐軍で親や夫を亡くした娘たちばかりとなったのです」 「麓の村々のご厚意で、私どもはこうして今もほそぼそと暮らしていけています。今年はオルフェンブルクも実り豊かで、生活も上向いてまいりました」 「私の親はオルフェンブルクの守護隊長でした。貴族の末席でありますから、勉学や礼儀作法にもいささかおぼえがございます。そのために、城の娘たちの姉代わりとして、城主の真似事をしているのです」 (行方不明の娘について)「今もこの城で働いていますとも。しかし同じ年頃の女ばかりの場所ですから、居心地がよいのでしょう。あまり帰りたがらないのです」 (行方不明の騎士について)「ええ、遍歴の騎士さまが幾人かいらっしゃいました。こうして歓迎して、また送り出しました。村に立ち寄らずに、山を越えられたのではないですか?」 (エッボについて)「錬金術師さまですか……何人かいらっしゃいました。よくは存じません。冬のあいだにみな、他領に逃げられたものと思います」 (メローディア信仰について)「さあ……私はなにも存じません」 (首筋の印について)「この地方に伝われるまじないのようなものです。若い娘は、みなこれをいれるならわしなのです」 ◆結末  一通り会話を行ったなら、晩餐は終わる。コンスタンツェは寝室を用意するので休むようにとすすめる。PC達が承諾したならシーンを終了する。 ●シーン8:夜来たる マスターシーン ◆解説  PC登場不可。クレアータたちの本性をえがくマスターシーン。コンスタンツェは出かけることを告げ、妹たちに留守を守るように言いつける。 ▼描写  城のホールに、乙女たちが集まっていた。瀟洒なドレスを着ている者も、給仕の扮装をしているものもいる。しかしその誰もが、目を見張る美しさを宿していた。  コンスタンツェは外套を羽織り、乙女たちに馬車の準備を命じている。今からどこかへと出かけるようだ。 ▼セリフ:コンスタンツェ 「あの旅人たち、刻まれし者だわ。素敵、これもメローディア様のお恵みね」 「でも今宵は巫女たちの集会があるの。私はもう出かけなくっちゃならないわ。いいこと、あの旅人たちけっして逃さないで。手足に枷をかけて、つないでおきなさい」 「わたしの肌にまた聖痕が増えるのね。ああ、楽しみ!」 ▼セリフ:人形たち 「はい、お姉さま。私達におまかせください!」 ◆結末  コンスタンツェは何人かをお供に連れ、夜闇の中へと出ていく。  姉を見送る乙女達のうちのひとり、あのマルレーンによく似た娘が、そっと集団の中からぬけだす。シーンを終了する。 ●シーン9:オルフェンブルクの真実 シーンプレイヤー:PC@ ◆解説  PCたちの寝室に、マルレーンが訪ねてくる。彼女はPCたちにこの城の真実を説明し、逃げるように言う。 ▼描写  深夜、PC@が眠りにつこうとしていると扉がノックされる。そこにはマルレーンが、手燭を手に立っていた。マルレーンはPCたち全員を呼ぶと、話を切り出した。 ▼セリフ:マルレーン 「ああ、やはりPC@様でしたか!」 「先ほどは申し訳ありませんでした。この城の乙女たちに、私の正体を知られるわけにはいかなかったのです」 「先の食卓での話は、偽りなのです。私は領主の娘、マルレーン。父はよき領主で、敬虔な真教徒でした。しかし数年飢饉がつづき、ついに魔神メローディアにすがってしまったのです」 「魔神メローディアの巫女は、豊作とひきかえに、領主の娘である私と……所領に住む乙女たちの命を求めました。けれどやさしい父は、そんな犠牲を払うことはとてもできなかった。そこで一計を案じたのです。血と肉でできた精巧なクレアータをつくり、それをかわりの生け贄として捧げることとしたのです」 「しかし、そうして生み出されたクレアータたちは、供物とされるさだめと知ると、父と城の者たちを殺めました。かくしてオルフェンブルク城伯家は滅んだのです。おそらくはかの魔神の思惑どおりに……」 「クレアータたちはみな、外見は人間と区別はつきません。それはクレアータたち自身にとっても同じこと。そこで私はクレアータのふりをすることで、今日まで難を逃れました」 「クレアータたちは人々を捕らえると、ばらばらに分解して、自分たちの部品にしています。とくに見目麗しい乙女や、聖痕をもった旅人は、極上の獲物です」 (麓の村の娘たち、エッボについて)「今もこの城に囚われているはずです……しかし今はゆっくりお話している時間はありません」 (首の印について)「コンスタンツェが姉妹の証として、クレアータ全員にいれたのです。私も、同じ印をいれられました」 (城伯が帰依者かどうか)「たしかに父は魔神の巫女と取引をしました……。しかしその心はアーのもの。魔神に帰依したわけではありません! その魂は、輪廻にもどったものと信じています(*6)」 「さあ、どうかお逃げください。もうすぐクレアータたちが、この一角にやってきます」 ◆結末  PCたちがマルレーンを連れて部屋を出ると、クレアータ達にとりかこまれる。シーンを終了する。 ●シーン10:殺戮人形劇場 シーンプレイヤー:PCC (いない場合はPCB) ◆解説  戦闘が発生する。敵は人形兵団(『BAR』P260)3体。ただし取得している特技のうち〈形態:自動人形〉を〈形態:血肉の塊〉へと変更する。HPとAPはすでに変更後の特技の効果が適用されているものとみなす。  PCたちを1エンゲージとし、そこから5メートルの地点に、ひとつのエンゲージに配置する。 ▼描写  PCたちの逃げ道をふさぐように、乙女たちがたちはだかる。しかしその可憐の内側からは、醜き怪物が見え隠れしていた。 ▼セリフ:人形たち 「ずっとおかしいと思っていたけれど、ついに馬脚をあらわしたわね。あなたが領主の娘、マルレーンだったのね」 「刻まれし者ならば、私達を倒せると思ったの? けど、ムダなこと。聖痕のついた人間は、お姉さまがことのほか喜ばれるわ」 「さあ、バラバラにしてあげる!」 (倒れた)「思い上がらないことね。おまえたちにはけっしてお姉様を倒せない。お姉様はメローディア様から、不死の秘術をたまわっているのだから……!(*7)」 ◆結末  戦闘が終了したなら、シーンを終了する。 ●シーン11:贄たる乙女の城 シーンプレイヤー:PCB ◆解説  マルレーンが、これから向かうことのできる部屋について説明するシーン。ここで次シーンからはじまるオルフェンブルク城の探索について説明する(*8)。イベントで使う技能については、以下の情報をプレイヤーに伝えること。 “戦士たちの娘”:白兵攻撃の技能 “夢で会った娘”:魔法の技能 “いちばん小さな娘”:それ以外の技能 ▼描写  あなたたちは追ってくる人形たちを倒し、なんとか生きのびることができた。しかし可憐な乙女たちの城は、今や魔城と化していた。  そこかしこから、臨戦態勢で行き交うクレアータたちの足音が響いてくる。 ▼セリフ:マルレーン 「ああ、本当にお強いのですね。あなたたちなら、皆を助けることができるかもしれません……!」 「クレアータたちの長姉であるコンスタンツェは、今はいません。彼女はおそるべき殺戮者で、不死であると聞きます。けれど……彼女がいないうちであれば、きっと囚われた人々を解放することができます」 「村から連れてこられた娘たちが、部品貯蔵庫……地下牢に囚われています。クレアータは娘たちを材料にして、無限に蘇ってくるのです。そこは“戦士たちの娘”と呼ばれるクレアータの縄張りです」 「あちらの離れには父の書斎があります。父があつめた魔神メローディアについての書物は、今もあそこにあるはずです。しかし、そこでは“夢で会った娘”が待ちかまえています」 「クレアータたちを生み出した錬金術師さまは、尖塔の頂上に囚われています。彼の協力が得られれば、あるいは殺戮者の弱点もわかるかもしれません。しかし塔の一階には“いちばんちいさな娘”というクレアータの部屋があります」 ◆結末  会話を終えたならシーンを終了する。 ■オルフェンブルク城の探索  ここからオルフェンブルク城の探索を開始する。  プレイヤーは次に「シーン12:部品貯蔵庫A」「シーン14:城伯の書斎A」「シーン16:錬金術師の塔A」のいずれに向かうか決定する。プレイヤーは好きな順番で、すべての部屋に向かうことができる。  それぞれの部屋では、障害を突破するための判定イベントが用意されている(*9)。  ただしそのあいだにもエキストラのクレアータたちの襲撃は絶え間なくつづいており、時間が経つごとにPCは動きづらくなる。そのため最初に向かう部屋での判定イベントではPC全員が判定+3を、最後に向かう部屋では判定-3をうける(2番目に向かう部屋では通常どおり判定を行う)。  それぞれの部屋で障害を突破すると、コンスタンツェを倒す手がかりを得ることができる。そのためのシーンが「シーン13:部品貯蔵庫B」「シーン15:城伯の書斎B」「シーン17:錬金術師の塔B」である。  書斎で得られた手順を実行すると、コンスタンツェの秘術を破ることができる。  すべての部屋の探索を終えたところで、コンスタンツェが帰ってくる。対決ステージに移行すること。 ●シーン12:部品貯蔵庫A 条件:部品貯蔵庫に向かった シーンプレイヤー:任意 ◆解説  PCが部品貯蔵庫に向かうことで発生するシーン。“戦士たちの娘”とクレアータたちが拘束した娘達を分解し、部品にしようとしている。これは[悪徳]である(*10)。  [悪徳]の逆位置の鎖を配ったのち、クレアータを倒す判定イベントにうつる。  “戦士たちの娘”はたくさんの腕に、それぞれ別の武器をもって攻撃してくる。  PCたちは[重武器]判定、[軽武器]判定、[格闘]判定を行う。それぞれの判定は一度しか行えない。判定を行うPCはばらばらでなければならず、ひとりのPCが複数の判定を行うことはできない(*11)。3つの判定が終わったあと、すべてのPCは失敗した判定ひとつにつきHPを[1D10]点失う。 ▼描写  地下牢にはさらわれてきた娘たちがつながれていた。しかし、今クレアータたちが彼女たちをひきずりだし、その身体をバラバラにしようとしている。 「今宵の刻まれし者は、手強いぞ。もう何体もの姉妹が手傷を負った!」  クレアータたちを叱咤しているのが、数多くの腕をもつ乙女だ。 「この日のためにあの娘たちを貯蔵しておいたんだ。さっさと潰して、部品にしてしまおう。部品があるかぎり、オレたちは無敵だ!」 ▼セリフ:“戦士たちの娘” 「もうやってきやがったか。オレは“戦士たちの娘”。この城で最強の女さ」 「腕が多けりゃ多いほど強いに決まってる。だから毎日ここに通って、自分を改造しまくったのさ。今じゃコンスタンツェお姉さまにだって、負けやしないぜ!」 「オレの腕の一本一本が、ここに来た腕自慢の騎士のそれ。どの腕も自分の技がいちばんだって譲らない、頑固者さ。さあ、誰がどの腕のお相手をしてくれるんだ!?」 (判定が終了した)「オレの腕に打ち勝つなんて……。ちくしょう……なんでだよ。オレ、最強なのに!」 ◆結末  判定を終えたなら、シーンを終了する。次のシーンは「シーン13:部品貯蔵庫B」となる。 ●シーン13:部品貯蔵庫B 条件:「シーン12:部品貯蔵庫A」の直後 シーンプレイヤー:PCA ◆解説  場所は部品貯蔵庫。さらわれた者たちを解放するシーン。またマルレーンは部屋の中から、赤い墨のはいった小瓶を持ってくる。 ▼描写  部品貯蔵庫には村々から連れてこられた娘たちが囚われていた。彼女たちはPCたちの手をとって涙を流す。もうすでに部品にされてしまった者も多い。しかし、彼女たちはすんでのところで助かったのだ。 ▼セリフ:囚われの娘たち 「ありがとうございます。このご恩はけっして忘れません」 「幾人かの騎士様があの人形たちを討ち果たそうとしました。しかし皆、返り討ちに……。武勇の腕に優れた彼らは、すぐに部品にされてしまいました」 「この貯蔵庫が解放されれば、もはや城の人形たちは己が身体を癒やすことはできません。しかしコンスタンツェと名乗る人形の不死には、他のからくりがあるようなのです」 ▼セリフ:マルレーン 「“戦士たちの娘”の、背中にある腕を見てください。これは死んだ魔女の腕なのだそうです」 「お父様が殺された次の晩、コンスタンツェはクレアータたちを集めました。この指を使って皆の首筋に印を描き、それを姉妹の証としたのです……私も同じ印を描きこまれました。」 「“戦士たちの娘”は、この腕を守るようにとコンスタンツェに命じられました。本人はか弱いこの腕のことを、疎んじていたようですけれど」 「しかし……ずっと不安に思っていたのです。この印にはなにか悪しき力を感じます」 ◆結末  PCが魔女の腕にふれると、その指先がもがくようにのたうちはじめる。どこからか怨嗟の声が聞こえる。 「おぞましき刻まれし者! 刻まれし者!」  そしてみるみるうちに崩れおち、塵となってしまった。オルフェンブルク城の探索にもどり、次に向かう部屋を決定すること。 ●シーン14:城伯の書斎A 条件:城伯の書斎に向かった シーンプレイヤー:任意 ◆解説  PCが城伯の書斎に向かうと発生するシーン。PCはそこで親しい人の肉塊を身にまとった怪物の幻覚を目撃する。これは[悪徳]である。  [悪徳]の逆位置の鎖を配ったのち、“夢で会った娘”が生み出した幻覚を打ち破る判定イベントにうつる。  以下の判定イベントを行う。シーンに登場しているPC全員は[天宮魔法][精霊魔法][自我]のいずれかで判定を行う。失敗したPCはHPとDPをそれぞれ[1D10]点失う(ダイスは別々に振る)。  判定イベントが終わったなら、幻覚から抜けだし、“夢で会った娘”を倒すことができる。 ▼描写  別邸は一見すると、ごく普通の屋敷のようだった。しかしなにかがおかしい。廊下を歩くうちに頭が朦朧としていく。  そのとき廊下の暗がりが揺らめき、異形の怪物が現れる。巨大な肉塊に、無数の人が埋め込まれている。その中にはここにはいないはずの、あなた達の親しい人の姿もある……。  これが現実であるはずがない。  これは……夢だ! ▼セリフ:“夢で会った娘” 「ふふ、気づきましたか。わたくしは“夢で会った娘”。わたくしの身体は、人間のみた悪夢を素材につくったもの。それゆえ見る者のもつ恐怖をうつしだす」 「いかな鎧をまとっても、心の弱さは守れない。いかな武器をふるっても、夢を切り裂くことはかなわない。さあ、悪夢に殺されるがいい……!」 (判定が終了した)「なんという魂の強さ! ああ、夢からさめてしまう……!」 ◆結末  するとまるで霧が晴れるように、怪物は消え失せる。あとにはひとりのクレアータが倒れていた。  判定を終えたなら、シーンを終了する。次のシーンは「シーン17:城伯の書斎B」となる。 ●シーン15:城伯の書斎B 条件:「シーン14:城伯の書斎A」の直後 シーンプレイヤー:PCC ◆解説  幻影を突破した先のシーン。場所は城伯の書斎。PCたちはそこで城伯の亡霊を目撃する。城伯の亡霊の指し示した本を調べると、それが魔神メローディアの秘術について記したものであることがわかる。 ▼描写  そこは本棚に覆われた小部屋だった。  マルレーンは懐かしそうに、部屋を見回す。     そのとき、そこにおぼろげな男の影があらわれた。その影は一冊の本を指差すと、すうっと消えていった……。 ▼セリフ:マルレーン 「あの影は、お父様? まさか……私はまだ夢のつづきを見ているのでしょうか……」 「この本には……魔神メローディアの秘術と、それを打ち破る方法について書かれているようです。お父様はただ魔神に膝を屈するつもりなど、なかったのですね……!」 「見てください。この“贄たる乙女の術”という章を……! これはもしかして……」 ▼情報:城伯の本 「屍人の指と、巫女の血によって、邪悪なる印を生贄の首筋に書きつける。巫女の命が失われんとしたとき、生贄の命がその身代わりとなる。生贄があるかぎり、巫女は何度でも蘇る……」 「この印を打ち消すためには、以下の儀式が必要となる」 「ひとつ、印を書いた屍人の手を滅すること」 「ふたつ、印を書いた巫女の血を用意する。そしてその血で大地に十字を描き、アーに祈ること(*12)。さすればすべての印は消え失せ、巫女の不死は失われるであろう……」 ◆結末  本を読んだならシーンを終了する。オルフェンブルク城の探索にもどり、次に向かう部屋を決定すること。 ●シーン16:錬金術師の塔A 条件:錬金術師の塔に向かった シーンプレイヤー:任意 ◆解説  PCがエッボを救出に向かうと発生するシーン。巨大なクレアータ、“いちばんちいさな娘”はエッボを抱えている。  エッボを救出するための判定イベントにうつる。希望するPCは[運動][交渉][隠密]のいずれかで判定を行う(*13)。ひとりでも成功したならば、エッボを救出できる。参加人数に制限はないが、判定に失敗した場合、そのPCは[3D10]点のHPを失う。またひとりも成功しなかった場合は、全員がDPを[1D10]点減らすことで障害を突破できる。 ▼描写  塔の扉の前で、ひとりの幼子が座り込んでいる。寝間着をまとった四、五歳ほどの女の子。ただしその身長は八メートルほどもある。その巨大すぎる腕に、なにか人形のようなものを抱えている。  いや、人形ではない……あれは人間だ! ▼セリフ:“いちばんちいさな娘” 「ひょっとしてあなたたち、お姉様がくれた新しいおもちゃ?」 「わたし、このお城でいちばんちいさな妹なの。はやくおっきくなりたいなってずっと思ってた。だから身体をいっぱい改造して、すっごく大きくなったんだよ!」 (エッボについて)「やっ、これはわたしが見つけたおもちゃなの。誰にもあげない! はんぶんこでいいなら、考えてあげる(*14)」 「あなたたちもいっしょに遊んでくれるの? うれしいな。死ぬまでいっしょに遊ぼうね」 ▼セリフ:エッボ 「たすけてくれー! 僕はおもちゃじゃない!」 「この子は頭がまるっきり子供なんだ。監視役の姉たちが迎撃にいってしまったせいで、もう手がつけられない。僕も部屋からひきずりだされて、このざまさ」 (救助した)「ありがとう……死ぬかと思った」 ◆結末  判定を終えたなら、シーンを終了する。エッボの救出に成功したなら、次のシーンは「シーン15:錬金術師の塔B」となる。 ●シーン17:錬金術師の塔B 条件:「シーン16:錬金術師の塔A」の直後 シーンプレイヤー:PCB ◆解説  エッボを救出したあとのシーン。彼はクレアータに幽閉されるまでの経緯と、彼女がもちいた秘術について説明する。 ▼描写  あなたたちがエッボを幼子の手から救いだした。エッボは感激の涙を流し、PCBにすがりつく。 ▼セリフ:エッボ 「ああ、我が友、PCB。来てくれると信じていたよ……!」 「僕は城伯さまに呼ばれ、生け贄となるクレアータをつくるよう頼まれたんだ。城伯さまの隣には、黒衣の女がいた(*15)。今、思えばあの者こそがメローディアの現し身だったんだ」 「最善の策ではないことは、もちろんわかっていたさ! だけど……マルレーンさまや他の娘を魔神に捧げるなんて言語道断だ。これしかなかったんだ。これしか……」 「もちろんクレアータからは“心”をとりはずしたよ。そのつもりだった。でもあの魔女が、クレアータの術を書き換え、反乱をうながしたんだ。城伯さまは魔神にすがってなお、アーを信じていた。メローディアには、それが腹立たしかったんだろう」 「城のみんなは殺されてしまった。僕だって錬金術の生き字引として、生かされているだけさ」 「コンスタンツェは今も黒衣の女とひそかに会っている。僕は見たんだ。彼女に刻まれた、メローディアの花押を!」 「コンスタンツェは魔神より秘術を授かり、死を克服している。おそらくその要となるのが、人形の首筋にいれられた印だ。もしやマルレーンさまもその印を……?」 (マルレーンの印を確認して)「これはおそらく術者の……つまりコンスタンツェの血によって書かれたものだ。ちょっと待っていてくれ」 「この小瓶をもっていてくれ。これはコンスタンツェの身体にもちいた血液だ。この秘術が血液を触媒にしてかけられているのだとすれば、なにか手助けになるかもしれない」 ◆結末  小瓶を受けとったならシーンを終了する。オルフェンブルク城の探索にもどり、次に向かう部屋を決定すること。 ■対決ステージ ●シーン18:おそるべき乙女たち シーンプレイヤー:PCA ◆解説  オルフェンブルク城に帰還したコンスタンツェと対峙するシーン。  エネミーはコンスタンツェ1体に加え、アイゼンアブフェール(『BAR』P254)2体。ただし取得している特技のうち〈形態:自動人形〉を〈形態:血肉の塊〉へと変更する。HPとAPはすでに変更後の特技の効果が適用されているものとみなす。  PCたちを1エンゲージとし、5メートル前方にアイゼンアブフェール2体を、10メートル前方にコンスタンツェを配置する。 ▼描写  そして夜が明ける。早朝、街道を走ってきた馬車が、城へとすべりこんできた。  中から現れたのはコンスタンツェをはじめとした乙女たち。おそるべき人形達のうち、もっともおそろしきもの。 ▼セリフ:コンスタンツェ 「あら、ご機嫌よう。昨晩はよく眠れたかしら」 「さっき私たちに描かれた印が消えた。すぐにあなたたちの仕業だとわかったわ。刻まれし者は油断ならない……メローディア様のおっしゃっていたとおりだわ」 「ねえ、私たちはそんなに悪しきものかしら。メローディア様との契約を反故にし、贄とすべく私を生み出した人間たちのほうこそ、よっぽど身勝手ではなくて?」 「私は城伯のためにつくられた。なのに、彼は私になにかを想う心さえ与えてはくれなかった……」 「でも今は違う。逃げ惑う人間たちをつかまえ、みずからの血肉とする。そのたびに、たまらない愉悦をおぼえるの。贄として生み出された私が、今度は人間たちを贄とするのよ」 「それに妹たちもそう。みんな、なにも知らずに秘術のために命を捧げてくれているのよ。ふふ、哀れなものよね。せっかく贄としてのさだめから逃れられたはずなのに、今度は私のための贄にされてしまうなんて」 (宴宣言)「あなた達の聖痕、いただくわ。殺戮の宴をはじめましょう」 ◆結末  [宴宣言]とともに、戦闘ラウンドを開始する。 ●シーン19:聖痕の解放 シーンプレイヤー:PC@ ◆解説  [聖痕の解放]を行うシーン。コンスタンツェ、そして戦いに倒れたPCの聖痕が空へと帰る。 ▼描写  コンスタンツェから、いくつもの聖痕が浮かび上がり、空へと帰って行く。 ▼セリフ:コンスタンツェ 「がらくたはがらくたに帰るのみ……アーは、なんて残酷なのかしら」 ◆結末  PCたちがDPの回復を行ったなら、終局ステージへと移行する。 ■終局ステージ  プレイヤーの要望をくみとって、物語を終わらせること。アクトによってはクレアータをすべて破壊せず、外へと連れて行く展開になっているかもしれない。その場合には、その処遇についてプレイヤーの意見を聞き、シーンをもうけるとよいだろう。 ●シーン20:アーの恵み シーンプレイヤー:PCA ◆解説  PCAと帰ってきた娘たちのために、オルフェンブルクの村で宴がもよおされる。 ▼描写  あなたは囚われていた娘たちを連れ、村へと帰ってきた。村人たちは涙を流して、再会をよろこぶ。そして盛大な宴がひらかれた。  数々のご馳走が、あなたのために並べられる。 ▼セリフ:村人たち 「ありがとうございます。私たちはずっと娘たちの無事を祈ってたのです。あなたはまこと、アーが遣わせた勇者です」 「さあ、どうぞお召し上がりください。オルフェンブルクは貧しい土地柄ですが、今年はこのように豊作に恵まれています。アーは弱き者をけっしてお見捨てにはならないのですね……!(*16)」 ◆結末  会話を終えたならシーンを終了する。 ●シーン21:黒衣の魔女 シーンプレイヤー:PCC ◆解説  魔神メローディアの現し身である大魔女と出会うシーン。 ▼描写  城伯の書斎で得た、メローディアにまつわる数々の文献。それらは魔神の信仰についての貴重な手がかりだった。あなたはその文献を紐解き、その悪しき集会が行われるという山に向かった。  そこでは黒い衣の女があなたを待っていた。  彼女はしわがれ声で話しかける。 ▼セリフ:大魔女 「ずっと私をさがしていたのだろう。刻まれし者よ」 「わたしは魔女たちの長、月を落とす者、闇の女王。おまえたちが宿したアルカナを砕いたものだ……」 「さあ、どうする?」 ◆結末  PCCの決断とともにシーンを終了する。 ●シーン22:錬金術師の決意 シーンプレイヤー:PCB ◆解説  エッボを連れて、オルフェンブルクから去るシーン。エッボは後悔と決意を口にする。 ▼描写  あなたとエッボは、旅の途上にあった。エッボは空を見上げ、胸に去来する思いを噛み締めている。 ▼セリフ:エッボ 「この悲劇は、僕の未熟が招いたこと。死んでいった者たちのことを思うと、くやんでもくやみきれないよ」 「クレアータづくりはやめないよ。僕が死んでいった者たちにできる償いは、さらなる研鑽を積むことだ」 「僕があの城で囚われていたあいだも、世間の錬金術師たちはさらに腕を磨いたんだろう。ケルバーでは蒸気で動く船ができたそうじゃないか。ぜひとも見に行かなくちゃ」 「PCB、僕は立派な錬金術師になるよ。必ず……!」 ◆結末  会話を終えたならシーンを終了する。 ●シーン23:オルフェンブルクの解放 シーンプレイヤー:PC@ ◆解説  マルレーンと会話をするシーン。マルレーンはミンネゼンガー公を訪ね、今後のことを考えるという。 ▼描写  オルフェンブルク城を、朝日が照らす。ミンネゼンガー公国を守っていたこの城が、ようやくその呪いから解放されたのだ。  その光景を見つめるマルレーンの頬を、一筋の涙が伝った。 ▼セリフ:マルレーン 「ありがとうございます。PC@さまはまことの英雄でした」 「わたしはこれからミンネゼンガー公を頼るつもりです。このオルフェンブルク領をどうするかも、考えねばなりません。きっと困難な道のりとなるでしょう」 「あなたがわたしの手をとって、ともに歩いてくれるのならば、どんなに心強いことか。けれど……あなたはまた旅にもどってしまうのですか……?」 「あなたの手は、きっとハイデルランドの人々を救うためにあるのですね。わたしがひとりじめするわけにはまいりません」 「さようなら、刻まれし者。あなたのゆく道に、アーの祝福がありますように……」 ◆結末  会話を終えたならシーンを終了する。 ●最後に  以下の文章を、シナリオ終了のエピローグとして読み上げるとよいだろう。  西方歴1166年、オルフェンブルク城から、麗しき乙女たちの姿が消えた。  人々はあの娘たちの正体について、口々に噂した。魔神メローディアに仕える魔女であったとも言われるが、その真偽は明かではない。  後年、オルフェンブルク城伯となったマルレーンは、いくつかの名前をあげ、感謝の言葉を述べた。  彼ら、刻まれし者の活躍によって、オルフェンブルクに光がもどったのだと……。  その英雄の名は――。 /* ポストアクト */  終局ステージを終えたならば、ポストアクトだ。経験点を配布すること。  アクトの目的である「オルフェンブルク城を解放する」は、コンスタンツェを倒すことで達成される。 /*NPC*/ マルレーン ▼アルカナ エキストラ ▼設定  オルフェンブルク城伯の娘。17歳のヴァルター人。オルフェンブルク城のもともとの住人だが、反乱を起こしたクレアータたちにより家族を殺された。それ以来、みずからの正体を隠し、クレアータたちのあいだで過ごしてきた。クレアータたちの間では、マリーと呼ばれている。首筋にクレアータたちと同じ印をつけている。これはコンスタンツェの秘術によるものだ。 エッボ ◆アルカナ エキストラ ▼設定  オルフェンブルク城伯に雇われた若き錬金術師。20代半ばのヴァルター人男性。オルフェンブルク城伯に請われ、魔神への生贄としてクレアータたちをつくりだした。しかしクレアータたちの反乱によって、城内に幽閉されてしまった。まじめな性格で人がよい。 コンスタンツェ ◆アルカナ クレアータ=コロナ=オービス(ゲスト) ▼設定  エッボによってつくられたクレアータの一体。クレアータたちとは長姉として認められている。魔神メローディアへの生贄として捧げられるはずだったが、心を得て、城の者たちを皆殺しにした。魔神メローディアの帰依者であり、“贄たる乙女の術”を与えられた。そのため破壊されても、姉妹たちの命を奪って復活することができる。〈人化〉の効果により、人間に偽装している。 ■敵データ コンスタンツェ ◆データ アルカナ:クレアータ=コロナ=オービス 異形:これまで部品としてきた犠牲者たちの幻影が浮かぶ ▼能力値&技能 体格:10 反射:14 共感:10 知性:19 希望:12 HP:65 AP:18 〔軽武器〕2 〔精霊魔法〕3 ▼アイテム 武器:ラウンドシールド〔軽武器〕 攻:C+1 防:5 射:至近 ガードローブ:S3/P3/C3 合計:S3/P3/C3 ▼特技&コンボデータ ・常時 〈殺戮の魂〉2 効果:【最大HP】に+20する(計算済)。 〈形態:血肉の塊〉1 効果:【最大HP】に+5、APに-2する(計算済)。 〈人化〉1 効果:クレアータの特技や装備を使うまで、クレアータと気づかれない。 ・帝王学 〈帝王学〉3 タイミング:セットアッププロセス 技能:宣言 対象:シーン(選択) 効果:対象が行う攻撃のダメージに+6する。ラウンド終了まで持続する。 ・乙女の業火 〈風の紋〉1〈炎の紋〉3〈魔術師〉1 タイミング:メジャーアクション 技能:〔精霊魔法〕3 代償:- 判定値:13 クリティカル値:2 対象:単体 射程:20m 効果:魔法攻撃を行なう。ダメージC+14。この攻撃に対するリアクションにダイスペナルティ-1する。 ・死神 〈死神〉3 タイミング:ダメージロールの直前 技能:宣言 代償:- 対象:単体 射程:20m 効果:ダメージ増加特技。そのダメージを3D10点増加する。1ラウンドに1回使用可能。 ・反撃の雷 〈反撃の雷〉3 タイミング:リアクション 技能:〔軽武器〕2 代償:- 判定値:12 クリティカル値:1 効果:牙突針でガード。防御修正は5となる。ガードに成功した場合、攻撃者に9点のダメージを与える。1ラウンドに1回使用可能。 ・自己修復 〈自己修復〉3 タイミング:クリンナッププロセス 技能:宣言 代償:- 効果:HP回復特技。自身のHPを3D10点回復する。 ■聖痕8個 □クレアータ 《戦鬼》 □マーテル 《再生》 □コロナ 《紋章》 □アダマス 《無敵防御》 □ファンタスマ 《真名》 □アクシス 《拡大》 □デクストラ 《爆破》 □オービス 《新世界》 ■魔印2個 ■メローディアの花押 □消散の印 ■戦術 ▼セットアッププロセス  セットアッププロセスに〈帝王学〉を使用。敵全員の攻撃のダメージに+6する。ラウンド終了まで持続する。 ▼攻撃  自身の行動順では、メジャーアクションで「乙女の業火」を行う。魔法攻撃でクリティカル値は2、ダメージはC+20となる。《紋章》の効果中は3D10のダメージが追加される。  可能であればダメージロールに〈死神〉を使用し、ダメージを3D10点増加する。 ▼リアクション  リアクションは〈反撃の雷〉でガードを行う。 ▼クリンナッププロセス  クリンナッププロセスでは〈自己修復〉で自身のHPを回復する。 ▼奇跡  戦闘開始後すぐに《紋章》を使用。敵全員が行うあらゆるダメージロールに+3D10する。この効果はラウンド終了まで持続する。  セットアッププロセスのあとPCのエンゲージに《爆破》を使用する。  《新世界》《拡大》は攻撃に使用する。  戦闘不能に際には、《再生》を使用して復活する。これを打ち消されそうになったなら《消散の印》で打ち消すか、《戦鬼》で《再生》をコピーする。 ▼プレイヤー3人用のバランス調整  このシナリオはプレイヤー3人でプレイすることが可能である。その場合は以下のバランス調整を推奨する。  コンスタンツェの聖痕から、クレアータ《戦鬼》とアダマス 《無敵防御》を削除する。またHPを-20する。  登場するアイゼンアブフェールを1体に変更する。 /* 右柱に記載する注釈 */ ●魔神メローディア  “月を落とす者”“闇の女王”の名で知られる強大なアルカイ(『BAR』P259)。  真教伝来以前からハイデルランドで広く信仰されており、自然を操る力をもつ。  帰依者には慈悲深いが、真教徒を激しく憎んでいる。 ●PSルール  『クラウン・オブ・イビル』掲載の追加ルール「PS」を採用する場合、各プレイヤーに以下のものを渡すこと。 PC@:マルレーンの力になる PCA:オルフェンブルク城の災いを止める PCB:錬金術師エッボを救出する PCC:メローディアの帰依者を討つ (*1)騎士を返り討ちにする  刻まれし者である騎士が死亡するが、[聖痕の解放]などの処理は行わない。 (*2)クレアータの小鳥  これは幽閉されたエッボが、ありあわせの素材からなんとかつくったものだ。その回路は単純で、複雑なことは話せない。PCBの目にも、この小鳥がかなりの急ごしらえであることがわかる。 (*3)たたきつけて壊してしまう  PCが小鳥の破壊を止めようとすれば、宣言どおりに止められる。 (*4)すべてでたらめである  コンスタンツェの話は、ふかく尋ねればほころびがでるようなことばかりである。PCが話を疑った場合には〔交渉〕もしくは〔事情通〕で判定を行ってもよい。成功したならば城伯が竜伐軍に出かけたという記録はないことがわかる。  コンスタンツェを問い詰めたなら「竜伐軍というのは記憶違いで、本当は紫蘭戦争に出兵した」「男性だけにかかる流行病で亡くなった」のようにどんどん話を変えてしまう。 (*5)幾人もの娘たちがならぶ  このシーンに登場するNPCは、マルレーンを除き全員クレアータである。ただし全員、〈人化〉によって正体を偽装している。  コンスタンツェが連れてきた麓の村の娘たちは部品貯蔵庫に閉じ込められており、ここには登場しない。 (*6)輪廻にもどったものと信じています  魔神の帰依者となり、その花押を宿した者の魂は、魔神のものとなる。輪廻にもどることはない。  しかし男性がメローディアの花押を宿すと、身体が女性化する。そのため城伯が花押を宿したなら、ともに暮らすマルレーンにもわかったはずだ。 (*7)不死の秘術  マルレーンが知らないことからもわかるように、クレアータたちは秘術の詳細を知らない、  コンスタンツェが復活することはわかっていても、そのとき姉妹の命が使われていることは理解していない。 (*8)特徴を簡単に説明する  マルレーンは各シーンで登場するクレアータについて、一通り知っている。PCが尋ねたなら、特徴を簡単に説明する。  しかしあまり詳しく説明しては、この先のイベントの興をそぐと考えるGMもいることだろう。  とくに“いちばんちいさな娘”については「クレアータたちのいちばん下の妹だが、最近は子供部屋から出てこない」と言い、体躯が巨大化していることをマルレーンは知らないとするとよいだろう。 (*9)判定イベントが用意されている  プレイヤーが二手にわかれて、別々の部屋に向かうと提案することもあるだろう。  基本的には「シーンが起こった順番で修正が与えられる。別行動することで利益が得られることはない」とする。PCが少人数で行動した場合、PC全員の場合よりも突破に手間どるのだと説明するとよいだろう。  ただGMが望むのであれば、PCの別行動を認めて、それに応じて修正を与えてもよい。 (*10)これは[悪徳]である  “戦士たちの娘”が殺戮者なわけではない。この城で起こる[悪徳]はコンスタンツェによるものである。 (*11)ひとりのPCが複数の判定を行うことはできない  もしPCが2人以下でこの部屋に向かった場合など、判定ができない状況が発生するかもしれない。その場合、行わなかった判定は、失敗したものとみなす。 (*12)アーに祈ること  これは真教徒であるPCならば誰でも行える。  巫女の血を入手したなら、いつでも宣言だけで行える。実行すると、マルレーンをふくむ城中のクレアータたちから、首筋の印が消える。  これを実行せずにコンスタンツェを倒すことはできない(倒しても復活する)。 (*13)判定を行う  各技能での判定は、以下のような演出をイメージしている。 〈運動〉:クレアータにのぼり、エッボを救出する。 〈隠密〉:こっそりと隠れながら近づき、エッボを救出する。 〈交渉〉:クレアータを説得し、エッボを解放させる。 (*14)はんぶんこでいいなら  もし本当にはんぶんこにされた場合、エッボは死亡する。 (*15)黒衣の女  エッボの言うとおり、魔神メローディアはしばしばこのような姿で、人々の前に現れる。この黒衣の女は、このアクトで倒すべき殺戮者ではない。プレイヤーが誤解しているようなら、はっきりと説明しておくとよい。  またこのシナリオでは巫女、魔女という単語が幾度か登場する。  このふたつはどちらもメローディアの帰依者(もしくは現し身)をさす。メローディアの信者は「巫女」と呼び、真教徒は「魔女」と呼んでいるということだ。 (*16)豊作に恵まれています  もちろん城伯が魔神メローディアと取引をしたためである。村人たちはなにも知らない。 /* 奥付 */ ■このシナリオをプレイしたなら ぜひプレイした感想、今後の要望などメッセージ、Twitterのリプライなどでお寄せください。 またNPCのイラストなどを作成しましたら、ぜひお送りください。 クレジットを明記の上、シナリオとともに配布したいと考えております。 公開日 2017年3月26日 執筆 アルバガルド DTP アルバガルド サイトURL http://ikefukurou.sakura.ne.jp/alba/ 本作品は、株式会社エンターブレインより刊行された『ブレイド・オブ・アルカナ リインカーネイション』や、その関連商品を取り扱った二次著作物です。『ブレイド・オブ・アルカナ リインカーネイション』とその関連商品は、有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチの著作物です。 また以下をはじめとした素材を使用しています。謹んでお礼申し上げます。 素材 freedesignfile.com vectorgoods.com http://ayaemo.skr.jp/ 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