トーキョーN◎VA における組み合わせ判定と達成値
『トーキョーN◎VA THE AXLERATION』において、判定の達成値はとても重要です。
なにしろクリティカルがなく、出す値をある程度選べる判定ルールですから、
低い達成値しかでないキャラクターは、
高い達成値をだせるキャラクターにまるで勝てないのです。
イチかバチかでサイコロを振ってみる……ということはトーキョーN◎VAではありえません。
そのため消費した経験点よりも、だせる達成値の高低でキャストの強さをはかる文化さえあります。
そして組み合わせ判定のルールは、判定の達成値と密接に関わり合っています。
この記事では、初心者がつまづきやすい、
組み合わせ判定と達成値について、簡単に解説したいと思います。
キャスト作成全般に関する解説記事も書いています。
初心者のかたはあわせて読んでみてください。
■技能を組み合わせる
N◎VAの組み合わせ判定の原則は、シンプルです。
だしたトランプと同じスートが塗られた技能は、組み合わせられる。
これだけです。
つまり、スペードのカードを出すと、
〈医療〉〈射撃〉〈知覚〉〈電脳〉を同時に行うことができます。
ただし、何個でも組み合わせていいわけではありません。
ここに以下の制限がつきます。
▼組み合わせられる技能の数は[ベース技能のレベル+1]種類まで
この+1というのはその技能自体のことなので、
ようするに技能レベルとは「同時に使える技能の数」をしめしていることになります。
たとえば先ほどの例でいえば、まっさらなキャストは〈射撃〉1レベルなので、
実際は〈医療〉〈知覚〉〈電脳〉のうちどれかひとつしか組み合わせられません。
〈射撃〉を3レベルにしたときはじめて、
〈医療〉〈知覚〉〈電脳〉の3つぜんぶが組み合うようになります。
技能レベルが、どれだけ複雑な行動をとれるのかをしめしているわけです。
でも……さらっと流してきましたが、ベース技能ってなんでしょう?
『基本ルールブック』には
「技能判定の基準となる行動をするための一般技能」のような説明があります。
具体的にどういうことかといいますと……。
▼アクション技能は必ずベース技能になる
プロファイルシートで★がついている技能を、アクション技能と呼びます。
だいたい攻撃を当てたり避けたりといった……
ゲーム中によくやる基本的な行動をするための技能です。
アクション技能は、組み合わせたとき、必ずベース技能となります。
ベース技能はひとつだけなので、アクション技能同士は組み合わせられません。
つまり〈白兵〉しながら〈射撃〉するとかはできないということです。
ちなみに★マークは書いてありませんが、
情報収集のときは〈社会〉や〈コネ〉技能が、必ずベース技能となります。
おそらくゲーム中の判定の九割くらいは、上記に該当するので、
どれがベース技能になるのか迷うことはありません。
技能をいっぱい組み合わせたかったら、
★マークの技能レベルを上げればよいということです。
上記に該当しない場合か、RLがベース技能を指定するか、
あるいはプレイヤーに決めさせてくれると思います。
▼条件に合わない技能は組み合わせられない
たとえば行為の対象がバラバラの場合、
それらの行動を一度に組み合わせておこなうことはできません。
またスタイル技能は組みあわせられる技能、タイミング、対象が決まっています。
それらの条件にあわない判定には組み合わせられません。
……以上。
だいたいこんなところではないでしょうか。
■技能を組み合わせて、達成値を上げる
でもなぜいくつも技能を組み合わせる必要があるんでしょうか。
攻撃をするのであれば〈白兵〉で十分だし、避けるなら〈回避〉だけでいいのでは……?
当然の疑問です。
まずいちばんにあがる理由は、スタイル技能の効果を受けるため。
説明不要のシンプルな理由です。
スタイル技能を組み合わせて判定することで、攻撃のダメージが上がったり、
バッドステータスを与えたり、RLに質問できたり……有利な効果を発揮します。
それに、さまざまな技能を使いこなすキャストの演出のため。
カッコいいから。それも大切。
しかし、それら以外に大きな理由があります。
達成値を上昇させるためです!
『TNX』のスタイル技能やアウトフィットの中には
「〈~~〉判定の達成値に+Xする」のようなものがあります。
たとえばフェイトには「常に〈知覚〉判定の達成値に+[レベル]する」スタイル技能、
〈シャープアイ〉があります。これを3レベルもっている探偵キャストがいるとしましょう。
このキャストが〈射撃〉技能で、敵ゲストに攻撃すると、
達成値は「能力値+だしたカードの数字」です。
しかしこの命中判定を〈射撃〉〈知覚〉の組み合わせでおこなったら……?
当然、〈シャープアイ〉の達成値+3がのっかります。
もちろん〈回避〉に〈知覚〉を組み合わせても、同じことが起こります。
情報収集でもそうです。
そのうえ、この探偵が「情報収集における〈社会〉判定の達成値に+[レベル]する」スタイル技能
〈事情通〉を取得していたら……?
〈シャープアイ〉〈事情通〉両方の効果が、累積して適用されます!
〈知覚〉を組み合わせるかぎり、この探偵はあらゆる判定に達成値+3の恩恵をうけるのです。
つまり……『TNX』はたくさん技能を組み合わせて、
複雑な行動をとればとるほど、達成値が上がるのです!
そんな馬鹿な!?
……と一瞬思ってしまいますが、
自分の得意分野のスキルを、さまざまなところで応用できる……と考えれば、おかしくありません。
この探偵の観察眼は、いかなる状況にも有効なのです。
さてこの発想を前提に、技能をみなおすと、
★マークがついているものとそうでないものには、
達成値上昇の面でそれぞれメリットとデメリットがあることに気がつきます。
〈知覚〉はどんな判定にも組み合わせられます。
しかし〈射撃〉はアクション技能なので、〈回避〉にも情報収集にも組み合わせられません。
「〈知覚〉判定の達成値に+[レベル]する」効果と
「〈射撃〉判定の達成値に+[レベル]する」効果は、
技能の名前がかわっただけにみえて、じつは応用性にまったく違いがあるのです。
では〈知覚〉を上昇する効果は、〈射撃〉を上昇する効果の上位互換なのでしょうか?
いいえ、これには重大な欠点があります。
組み合わせれば恩恵をえられる……ということは、
つまり[ベース技能のレベル+1]種類までしか組み合わせられない技能の数を、
圧迫してしまうということです。
たとえば先ほどのキャストが
「射撃攻撃の達成値を上げた上で、
さらに〈†必殺の矢〉で[差分値ダメージ]をのせて攻撃をしたい!」
……と考えたとしましょう。
〈射撃〉達成値を上げる〈クイックドロー〉を取得していた場合ーー
〈射撃〉が1レベルであっても、
〈射撃〉〈†必殺の矢〉を組み合わせたうえで、達成値の高い攻撃ができます。
(〈クイックドロー〉自体は常時効果を発揮しているため組み合わせません。念のため)
しかし〈知覚〉達成値を上げる〈シャープアイ〉の場合は、そうはいきません。
〈射撃〉が1レベルだと〈知覚〉しか組み合いません。
〈†必殺の矢〉を使いたければ、10経験点を使って〈射撃〉を2レベルに上げる必要があります。
そして、もちろんスートが合わない技能同士を組み合わせることはできません。
〈回避〉も〈自我〉も……1レベルでは、〈知覚〉と組み合いません。
いろんな判定に〈知覚〉を組み合わせたければ、レベルを上げて、スートを増やす必要があります。
こうした制限がじわじわと経験点を奪っていくのです。
もちろん〈知覚〉がベース技能となる判定であれば、話は別です。
しかしアクション技能にくらべると、
ベース技能として指定される機会は、かぎられているといえるでしょう。
また技能を組み合わせるときには、「その組み合わせが可能かどうか」RLが最終的に決定します。
プレイヤーが「なぜその技能を組み合わせられるのか」使い方をちゃんと説明できなければ、
RLは組み合わせを却下してしまうかもしれません。
〈知覚〉なら説明は簡単かもしれません。
しかしこれが〈射撃〉と〈交渉〉なら?
〈白兵〉と〈芸術:歌唱〉だったらどうでしょう?
……といっても、これは一概に欠点とは言えないかも。
技能の組み合わせをどう解釈し、どう演出するか……
それは『トーキョーN◎VA』のおおきな楽しみのひとつですから!
■ここでいったんまとめ
これまでの話をまとめると、以下のようになります。
- アクション技能の達成値を上げると……
プロファイルシートに★マークがついた一般技能。
達成値が上がるのは特定の行動のみだが、経験点が安くすむ。 - その他の一般技能の達成値を上げると……
ベース技能に関わらず組み合わせられるが、組み合わせ制限に注意が必要。
不自然な場合、RLに却下される可能性がある。
いろんな判定で達成値を上げられるが、経験点が高めにかかる。
■達成値を上げるスタイル技能
「達成値を上昇させる、タイミング:常時の技能」はさまざまなスタイルに存在します。
その効果もまた千差万別です。
しかし、おおまかな基準はあります。
「達成値に+1する」効果は、だいたい10経験点で得られる……というものです(例外もあります)。
ただし初期作成時は技能レベルを4以上にできないことに注意してください。
以下は『基本ルールブック』『ジ・アザーサイド』の範囲で、
これらのスタイル技能にあたるものです。
アクション技能にはわかりやすいように★マークをふっています。
- カブキ
〈シャウト〉(交渉・リアクション)
〈マエストロ〉(芸術)
〈スーパークール〉(山札から行った判定・『TOS』掲載)
〈バンドワゴン〉(社会:ストリート、メディア・情報収集・『TOS』掲載) - バサラ
〈通過〉(運動)
〈†元力①:光学(正)〉(隠密)
〈†元力①:光学(負)〉(隠密)
〈†元力⑧:器物〉(指定した一般技能・指定したアウトフィット使用時)
〈強化元力〉(元力を使った攻撃・『TOS』掲載) - タタラ
〈超スピード作業〉(製作) - ミストレス
〈肝っ玉〉(交渉・リアクション) - カブト
〈無敵防御〉(★白兵・リアクション)
〈勇名〉(社会:ストリートor企業・情報収集、登場判定・『TOS』掲載) - カリスマ
〈演説〉(交渉)
〈時の人〉(社会:社交界、メディア・情報収集、登場判定・『TOS』掲載) - マネキン
〈誘惑〉(交渉) - カゼ
〈クイックイヤー〉(社会:ストリート、テクノロジー・情報収集)
〈バーンナウト〉(★操縦)
〈栄光の道〉(精神攻撃に対するリアクション・『TOS』掲載) - フェイト
〈事情通〉(社会・情報収集)
〈シャープアイ〉(知覚) - クロマク
〈疑似合法〉(社会攻撃に対するリアクション)
〈根回し〉(コネ)
〈派遣調査〉(社会・情報収集)
〈ミスタービッグ〉(社会:ストリート) - エグゼク
〈産業スパイ〉(社会攻撃の命中判定)
〈ホットライン〉(社会:企業・情報収集)
〈ライトスタッフ〉(舞台裏で行う情報収集) - カタナ
〈居合い〉(★白兵・メジャー) - クグツ
〈企業情報〉(社会:企業)
〈製品知識Ⅱ〉(製品知識・『TOS』掲載) - カゲ
〈影化〉(隠密)
〈猿飛〉(運動) - チャクラ
〈軽功〉(運動)
〈拳法〉(★白兵・生身を使用した攻撃、パリーorウェット時・『TOS』掲載)
〈武名〉(社会:ストリート・情報収集、登場判定・『TOS』掲載) - レッガー
〈イカサマ〉(★白兵、★射撃)
〈裏ルート〉(★信用・アウトフィット売買)
〈任侠道〉(社会:ストリート)
〈虚言〉(交渉、★信用・『TOS』掲載) - カブトワリ
〈クイックドロー〉(★射撃・メジャー)
〈シャープシューター〉(★射撃・リアクション) - ハイランダー
〈アテンション〉(交渉・メジャー)
〈※天上人〉(あらゆる判定)
〈軌道センス〉(芸術:指定した分野・『TOS』掲載) - マヤカシ
〈隠心〉(★自我・リアクション)
〈占星術〉(社会:ストリート、アストラル・情報収集、登場判定・『TOS』掲載) - トーキー
〈匿名報道〉(社会攻撃に対するリアクション)
〈ニュースソース〉(社会:メディア、コネ)
〈早口〉(交渉) - イヌ
〈私服警官〉(あなたを調べようとする判定に対するリアクション)
〈バッヂ〉(社会:警察)
〈生存嗅覚〉(★回避・『TOS』掲載) - ニューロ
〈ストリームマップ〉(社会・情報収集)
〈01フィーリング〉(電脳・メジャー)
〈防壁構築〉(電脳・リアクション)
〈タップマスタリー〉(電脳・[電制]15以上のタップ装備時・『TOS』掲載) - ▼ヒルコ
〈生存本能〉(物理・精神攻撃に対するリアクション・『TOS』掲載)
〈生体アンテナ〉(社会:ストリート、メディア・情報収集・『TOS』掲載)
〈透明化〉(隠密・『TOS』掲載)
〈※領域〉(あらゆる判定・『TOS』掲載) - クロガネ
〈付喪神〉(★自我・『TOS』掲載) - アラシ
〈敵情偵察〉(知覚、社会:ストリート・カット進行以外・『TOS』掲載)
〈ドッグファイト〉(ヴィークル搭乗時に行うorヴィークルを対象とした物理攻撃・『TOS』掲載) - カゲムシャ
〈ドッペルゲンガー〉(隠密・カット進行以外・『TOS』掲載) - アヤカシ
〈古き友人〉(コネ・『TOS』掲載)
〈闇の外套〉(★回避・『TOS』掲載)
〈夜の住人〉(★自我・『TOS』掲載)
あくまでざっと名前を列挙したものなので、詳しい効果はデータを参照してください。
またここに載せたのは「タイミング:常時」のものだけです。
一時的に達成値を上げるものなどはふくまれていません。
また能力値を上昇させることで、結果的に達成値が上がるスタイル技能もあります。
そのあたりはルールブックをめくって、いろいろ調べてみてください。
■達成値を上げるアウトフィット
アウトフィットの中にも達成値を上昇させるものがたくさんあります。
スタイル技能と違って、アウトフィットの値段はさまざま。
同じ「達成値に+1する」効果でも、10経験点より高いものもあれば、安いものもあります。
……ということは安いものを集めれば、スタイル技能を取得するより
お得に達成値を上げられるということです!
ただしアウトフィットはスタイル技能のように、
レベルを上げて、効果を上げるなどということはできません。
達成値をより高みにあげようと思ったら、
どんどん「費用対効果の悪い」アウトフィットに手を伸ばさざるをえないのです。
■達成値と組み合わせについての注意点
最後に組み合わせや達成値について
こまごまとしたルールや注意点を説明しておきましょう。
といっても、もちろんこれで全部というわけではありません。
詳細はお手元のルールブックを確認してください。
・『TNX』ではトランプの「A」は判定の際、達成値21としても使えます。
これはどういうことかと言いますと、能力値や達成値を上下する効果に関わらず、結果が21になるということです。ただし味方の「達成値を上げる」支援もうけられません。
それがいやな場合は、もちろん「A」を数字11として使うこともできます。
達成値を上げる効果がいっぱいのっている場合は、
このほうが達成値が22以上になってお得になります。
ただし……注意してほしいのは、数字11として使用した場合は、 敵が使う「達成値を下げる」効果を受けてしまう可能性があるということです。
なおダメージカードでは、当然ながら21あつかいはできません。
21になるのはあくまで達成値だけです!
・都市社会技能(〈社会:N◎VA〉とかですね)は、すべての業界社会の代わりになります。
ただし2レベル以上にできません。また他の技能と組み合わせることもできません。
・誰かに対して〈交渉〉判定をする際、対象の〈コネ〉を組み合わせると、その〈コネ〉のレベル分、達成値が上がります。
・団体社会技能(〈社会:千早重工〉など)は、使える範囲が狭いかわりにレベル分、達成値が上がります。
・とある行為判定を、指定された一般技能ではなく、別の技能で判定したい!
そういうときはRLが認めれば代用することが可能です。ただし達成値が-5されます。
・ルール上はとくに制限はありませんが……
カット進行において、達成値を上げる目的で〈社会〉技能を組み合わせることに、
あまりいい顔をしないRLは多いです。
(スタイル技能の組み合わせで指定されている場合は別ですが……)
やりたい場合はプレアクトの段階で可否をたずねておくとよいでしょう。
■よい子の達成値
達成値が高いキャラクターは強い。
これは真理ではありますが、あまり高すぎてもしかたがないともいえます。
ともかく相手に勝てさえすれば、達成値が21だろうか31だろうが同じことです。
だったら達成値はそこそこにおさえて、他のスタイル技能をとったほうがよいでしょう。
では、どのくらいが必要十分な達成値なのでしょうか。
同人シナリオなどでは「キャストは最大達成値いくつまで」とか
「敵ゲストが最大どのくらいの達成値をだす」とか
アンダーワークの事前情報に明記されていることもあります。
RLがだした指針があるなら、これに合わせればいいので、簡単です。
では、指針がない場合はどうすれば……?
これは自分の個人的な感覚になりますが、
初期作成時で達成値21前後、100経験点以上で達成値24前後くらいかなと思っています。
もちろん敵ゲストと対決をしないキャストはそんなに達成値はいりません。
逆に単一スート特化型で最大達成値が30以上でるとか、そういう場合もあると思います。
組み合わせ判定を使いこなして、苛烈なストリートを生き抜いてください。
ではいつかどこかのアクトでお会いしましょう――XYZ